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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月20日

練習と食事制限で生理が止まった女性へ|運動と相対的エネルギー不足の研究

夜の台所で練習後の夕食を少なめによそいながら、生理が来ていないことを思い出す場面があります。キックボクシングを始めたうえに食事も減らしていたら、運動のしすぎが原因なのかと気になるでしょう。生理が止まったときは、練習量だけでなく、体を動かすために使う量と食べる量の釣り合いを見直す必要があります。 Liang(2025)の女性格闘技選手の調査では、45.2%がエネルギー不足の危険ありと判定されました。

この記事の要点
  • 練習を増やしながら食事を減らすと、体の働きに回るエネルギーが不足するおそれがあります。
  • 格闘技の研究では、質問票で危険を調べた集団と、試合前の減量を追った集団を区別する必要があります。
  • 質問票の点数が低くても、エネルギー不足を見落とす場合があります。
  • 月経が止まったことだけで骨の状態は決まりませんが、骨の健康を確かめる理由になります。
  • 月経の日付、練習の時間、食べた内容を同じ日付の欄に残すと、生活の変化を伝えやすくなります。

練習と食事制限で生理が止まった女性へ|運動と相対的エネルギー不足の研究

夜の台所で練習後の夕食を少なめによそいながら、生理が来ていないことを思い出す場面があります。キックボクシングを始めたうえに食事も減らしていたら、運動のしすぎが原因なのかと気になるでしょう。生理が止まったときは、練習量だけでなく、体を動かすために使う量と食べる量の釣り合いを見直す必要があります。 Liang(2025)の女性格闘技選手の調査では、45.2%がエネルギー不足の危険ありと判定されました。

この割合は、生理が止まった女性の割合でも、ボクササイズの初心者が同じ状態になる確率でもありません。体を動かしていても、月経や骨を保つためのエネルギーが足りているかは別に考える必要があります。生理がなくなったことを、練習に慣れた証拠や減量が順調な証拠として扱わないことが出発点です。研究をたどると、運動時間だけでは説明しきれない面と、簡単な自己チェックでは拾いにくい面が見えてきます。

要点

  • 練習を増やしながら食事を減らすと、体の働きに回るエネルギーが不足するおそれがあります。
  • 格闘技の研究では、質問票で危険を調べた集団と、試合前の減量を追った集団を区別する必要があります。
  • 質問票の点数が低くても、エネルギー不足を見落とす場合があります。
  • 月経が止まったことだけで骨の状態は決まりませんが、骨の健康を確かめる理由になります。
  • 月経の日付、練習の時間、食べた内容を同じ日付の欄に残すと、生活の変化を伝えやすくなります。

食べる量と使う量の差が、月経に関わる

相対的エネルギー不足とは、使う量に対して食べる量が足りず、体の働きを保つためのエネルギーが不足する状態です。運動の分を差し引いたあと、体に使えるエネルギーが少ないことを低エネルギー可用性といい、研究ではLEAと略します。その不足が健康や運動能力に影響する問題を広く捉える言葉が、スポーツにおける相対的エネルギー不足、RED-Sです。単に食事の量が少ないかどうかではなく、その人がどのくらい使っているかとの関係が大切になります。

たとえば練習が増えても食事は以前のまま、あるいは夕食をさらに減らすという組み合わせでは、食べる側と使う側が逆向きに変わります。体重の目標だけに目を向けると、月経の変化を減量の途中に起きる小さな不便として扱いやすくなります。Wong(2025)は、エネルギー不足などで月経を調節する働きが抑えられる機能性視床下部性無月経を、思春期の女性選手について論じています。これは生理が止まる仕組みのひとつであり、生理がないという症状の名前と、原因まで調べた診断とは異なります。

Torres Dos Ramos(2025)の運動している女性の調査では、40.0%が女性アスリートの三主徴の危険ありと判定されました。三主徴とは、エネルギー不足、月経の異常、骨の健康の問題が結びつくことを指します。対象には愛好者から競技者までが含まれ、質問票をオンラインで集めた横断研究、つまりある時点の状態と関連を調べる方法でした。この結果の中心は、自覚しやすい運動の成績だけではなく、食事と月経と骨を一緒に見る必要があるという点です。

格闘技の調査で、危険ありとされた人は何を測られたか

Liang(2025)が調べたのは、柔道、レスリング、散打の女性選手です。散打はキックボクシングに相当する打撃系を含む種目ですが、研究全体をキックボクシングだけの調査として読むと対象が変わってしまいます。選手は、女性のエネルギー不足の危険を探る質問票と、食べ方の問題を調べる質問票に回答しました。危険ありとされた45.2%は、その調査の判定結果であって、医療機関でRED-Sと診断された割合ではありません。

同じLiang(2025)には、試合前の減量に入った柔道選手を追った部分もあります。試合の週には、追跡した11人全員が低エネルギー可用性の状態になりました。エネルギーが不足した群では、安静にしているときに使うエネルギーや、代謝・成長に関わるホルモンの値が下がっていました。減量の進行と一緒に、体重以外の体の働きにも変化が現れたことが、この追跡の重要な点です。

質問票で危険を調べることと、食事や活動からエネルギーの状態を見積もることは、同じ測定ではありません。最初の調査ではトップ選手と愛好者の危険の割合に有意な差がなく、競技の水準だけでは危険の有無を説明できませんでした。また、減量の追跡対象は柔道選手であり、ミットを打つ初心者を追った結果ではありません。Liang(2025)で目立ったのは、競技名だけで決まる危険よりも、試合前の減量という条件のもとで生じたエネルギー不足でした。

練習時間が長いほど、生理が止まるとは限らない

生理が来なくなると、まず練習回数を数えたくなります。しかし、運動時間が似ていても食事の内容や減らし方が異なれば、体に残るエネルギーの条件も変わります。Kubica(2026)は、ホルモン避妊薬を使っていない女性の運動愛好者に、練習の強さや時間、月経の状態を尋ねました。結果は、運動の強さや練習時間と月経の健康との間に、臨床的に意味のある関連を認めないというものでした。

Kubica(2026)で、以前あった生理が止まる続発性無月経の割合は2.9%でした。これは運動をした結果として発症した割合ではなく、調査時に自己申告された状態の割合です。食事から摂ったエネルギーは測っていないため、運動時間との関連がなかったことから食事の不足まで否定することはできません。食べる量を測らずに練習時間だけを見た研究には、両者の釣り合いという部分が残ります。

よく言われること 研究で示されたこと 比較・測定の方法 対象
長く練習するほど生理が止まる 時間や強さと月経の健康に明瞭な関連はなかった 練習と月経の自己申告を比較。Kubica(2026) 女性の運動愛好者
選手の水準が高いほど不足しやすい 危険の割合に有意な差はなかった トップ選手と愛好者を比較。Liang(2025) 女性格闘技選手
質問票が低得点なら安心 質問票では不足を拾えない人がいた 食事・活動記録による判定と比較。Liu(2026) 複数種目の女性選手
月経が乱れた人は皆、骨密度が低い 全体では月経の状態による差がなかった 既存の月経と骨密度のデータを比較。Øistuen(2026) さまざまな種目の女性選手

質問票の点数だけで、食事が足りているとは決めない

自己チェックの質問票は、月経やけが、体調について振り返るきっかけになります。ただし、質問票の答えから得た点数と、食事や活動から調べたエネルギーの状態が一致するかは別の課題です。Liu(2026)は複数の種目の女性選手で、食事・活動記録から推定したエネルギー可用性を基準に、女性向けの質問票LEAF-Qと安静時代謝の指標を比較しました。危険を探す道具の性能を調べた研究であり、質問票の点数を下げる方法の試験ではありません。

Liu(2026)での質問票の感度は27.3%でした。感度は、基準の測定で不足があるとされた人を、質問票でも拾える割合です。特異度、つまり不足がないとされた人を正しく除ける割合は55.6%でした。ここからは、低い点数が出た人の中にも不足が隠れているため、点数が低いという理由で月経の変化を無視しない、という実際的な問題が見えてきます。

同じLiu(2026)の安静時代謝に基づく指標は、感度100%、特異度44.4%でした。不足を拾う性能は高くても、不足がない人まで危険ありとする判定が増えるという性質があります。したがって、感度が高い数字だけを見て、自宅で代謝の値から診断を付ける使い方には進めません。食事・活動の記録を基準として比べたこの研究では、質問票にも代謝の指標にも、見落としや拾いすぎという異なる課題がありました。

骨の問題は、月経の有無だけでは測れない

生理が止まることの心配は、出血がないという変化だけではありません。Wong(2025)の総説は、思春期の女性選手で、エネルギー不足などによる無月経が骨量を積み上げる時期に重なる問題を説明しています。エストロゲンという女性ホルモンの低下に伴い、骨が十分に育たず、骨密度の低下や疲労骨折の危険につながるという内容です。疲労骨折は、繰り返しの負荷によって骨に傷みが蓄積して起きる骨折を指します。

一方、Øistuen(2026)が女性選手の既存データを調べ直した研究では、全体としては月経の状態ごとに骨密度の差がありませんでした。持久系の選手で重い月経異常がある人には、股関節の骨密度が低いという違いがありましたが、全体に同じ関係が広がっていたわけではありません。骨密度は、骨に含まれるミネラルの量を画像検査で評価する指標です。月経の状態は骨への注意を向ける手掛かりになりますが、骨密度そのものを測った結果とは異なります。

これらは、同じ対象に同じ方法を使って反対の結論が出た研究ではありません。Wong(2025)は思春期の無月経と骨の関係を論じた総説で、Øistuen(2026)は異なる種目の選手の測定データをまとめ直した解析です。骨が育つ時期の問題を扱うか、すでにある骨密度の値を月経の分類で比べるかで、見ているものが違います。後者の全体で差がなかったことと、前者が述べる骨量の獲得や疲労骨折への懸念は、併せて受け止める必要があります。

食事・練習・月経を、同じ日付で並べる

生理が止まったあとに、さらに食事制限と練習量の増加を重ねる計画は見直す対象です。Liang(2025)の減量期の追跡では、試合の週にエネルギー不足がそろって現れました。体重が目標へ近づくことと、体の働きが保たれていることは同じ意味ではありません。減量の達成を理由に月経の変化を小さく扱わず、食べ方と運動を同時に変えた時期をたどることが先になります。

  • 月経の記録は、最後に出血が始まった日と終わった日をカレンダーに写し、以後も日付で残します。Torres Dos Ramos(2025)が月経の状態を質問票で調べたように、記憶だけで答えずに済む材料を作るための作業です。
  • 食事・活動を基準にしたLiu(2026)にならい、練習した日は終了後に内容と時間を分単位で、食事は食べた時刻と内容を同じ日付の欄へ書きます。量は普段使う茶わんや皿を基準に記すか写真で残し、食べなかった食事も空欄にせず残します。
  • 減量期を追ったLiang(2025)の条件を手掛かりに、食事を減らし始めた日と練習を増やした日を同じカレンダーへ書き加えます。体重の目標を厳しくする変更と運動を増やす変更を重ねず、次の練習前に変更点と月経の記録を一緒に見返します。

これは、自分でエネルギー不足を計算して合否を付けるための表ではありません。練習時間だけなら残っていても、その日の夕食を抜いたことや、普段より少なかったことは忘れやすいため、食事の欄も並べます。記録を整えるために、すでに止まっている生理についての相談を先延ばしにする必要はありません。Liu(2026)で基準に使われたのも食事と活動の記録であり、質問票の回答だけより、実際の生活を具体的に伝える材料になります。

よくある質問

運動をやめれば、生理は戻りますか

練習量だけを変えれば戻る、と一律には答えられません。運動愛好者を調べたKubica(2026)では、練習時間や強さと月経の健康に明瞭な関連はなく、食事量は測定されていませんでした。食事も減らした時期に生理が止まったなら、その経過を含めて原因を評価する必要があります。運動した時間だけで原因を決めず、食べ方の変化も伝えることが役立ちます。

質問票で危険なしなら、食事制限を続けてよいですか

質問票の判定だけを、食事制限を続ける許可として使わないようにします。Liu(2026)では、食事・活動記録を基準にすると、質問票がエネルギー不足を拾えない例がありました。実際に生理が止まっているなら、その変化は点数と別に扱う必要があります。記録には得点だけでなく、月経が来なくなった時期と食事を減らした経過も残します。

生理が止まったら、もう骨が弱くなっていますか

月経が止まったという情報だけで、現在の骨密度は決まりません。Øistuen(2026)の解析では、全体として月経の状態による骨密度の差がなかった一方、持久系の一部では低下が見られました。Wong(2025)は、思春期の無月経に伴う骨量の獲得不足や疲労骨折の危険を論じています。月経の変化は骨の状態を確認する手掛かりであり、骨折したかどうかや骨密度の値を示す結果ではありません。

この記事の限界

測定の中心は質問票や食事・活動の自己記録で、食事量の見積もりや月経の分類に誤差が入り、キックボクシングの初心者が食事制限を始めたあとの経過を直接追った研究は含まれていません。生理が数か月来ない場合は婦人科で、最後の月経、食事制限と練習を変えた時期を伝え、エネルギー不足以外の原因も含めて評価を受けることが大切で、ここで示した研究はその診断の代わりにはなりません。

局所の骨の痛みが続いたり、着地で痛んだりする場合は、疲労骨折の可能性も含め整形外科で確認する必要があります。格闘技の減量期を追った研究が捉えたのは、体重の目標へ向かう過程でも、体の機能に回るエネルギーが不足しうるという問題です。

参考文献

  1. Liang ほか. The impact of low energy availability risk on pre-competition physiological function in Chinese female combat athletes. J Int Soc Sports Nutr. 2025;22(1):2490170.
  2. Torres Dos Ramos ほか. Prevalence of physically active females at risk for the female athlete triad in Spain. J Int Soc Sports Nutr. 2025;22(1):2590641.
  3. Wong ほか. Functional hypothalamic amenorrhea in adolescent athletes impairs bone accrual and increases fracture risk. Front Endocrinol (Lausanne). 2025;16:1709695.
  4. Liu ほか. Comparing RMR-Derived Proxy Indicators and LEAF-Q for Detecting Low Energy Availability Risk in Mixed-Sport Female Athletes. Sports (Basel). 2026;14(8):319.
  5. Kubica ほか. Self-reported physical activity intensity and training volume are not related to menstrual health among recreationally active Swiss females. BMC Womens Health. 2026;26(1):368.
  6. Øistuen ほか. Menstrual status and bone health in athletes from different sports - a retrospective analysis. BMC Sports Sci Med Rehabil. 2026;18(1):356.

汗が落ちる溶岩の床の上で、最初のジャブを構えてみる

  • 向く人: 相手と打ち合わずに、ミットとサンドバッグで汗をかきたい人
  • 向く人: 運動から離れていて、構えとフォームから教わり直したい人
  • 向かない人: スパーリングや試合で自分の強さを試したい人
  • 向かない人: 手首や肩、腰の痛みで医師から運動を止められている人

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よくある質問

運動をやめれば、生理は戻りますか

練習量だけを変えれば戻る、と一律には答えられません。運動愛好者を調べたKubica(2026)では、練習時間や強さと月経の健康に明瞭な関連はなく、食事量は測定されていませんでした。食事も減らした時期に生理が止まったなら、その経過を含めて原因を評価する必要があります。運動した時間だけで原因を決めず、食べ方の変化も伝えることが役立ちます。

質問票で危険なしなら、食事制限を続けてよいですか

質問票の判定だけを、食事制限を続ける許可として使わないようにします。Liu(2026)では、食事・活動記録を基準にすると、質問票がエネルギー不足を拾えない例がありました。実際に生理が止まっているなら、その変化は点数と別に扱う必要があります。記録には得点だけでなく、月経が来なくなった時期と食事を減らした経過も残します。

生理が止まったら、もう骨が弱くなっていますか

月経が止まったという情報だけで、現在の骨密度は決まりません。Øistuen(2026)の解析では、全体として月経の状態による骨密度の差がなかった一方、持久系の一部では低下が見られました。Wong(2025)は、思春期の無月経に伴う骨量の獲得不足や疲労骨折の危険を論じています。月経の変化は骨の状態を確認する手掛かりであり、骨折したかどうかや骨密度の値を示す結果ではありません。